朝5時半ごろ、ふと目が覚めた。
我が家は昨晩から原因不明の停電に見舞われている。
気付くと、隣に寝ているはずの妻がいない。
「トイレにでも行っているのだろう」と思って、再び寝ようとした。
なかなか寝付けず、10分、20分、そして30分が経過しても、妻が戻ってこない。
不審に思った私はベッドを降りて寝室を出る。
すると、トイレのドアの下の隙間から、かすかに明かりが漏れていた。
【おしるし】
停電中だから、妻がスマホのライトを照らしているようだった。
ドアの外から「どうしたの?」と声を掛けると、中から苦しそうな妻の声で「おしるしが出てるかもしれない。おなかも痛い」と返答が。
“おしるし”とは、出産が近づき子宮口が開こうとした時に、卵膜がはがれて出血すること。
私「不正出血とか、危ない出血じゃなさそう?」
妻「…たぶん(←苦しそう)」
私「とりあえずドア開けれる?」
ここで妻がトイレのドアを開けてくれた。
妻は下着をおろしたまま便座に腰かけている。
この時点で時計は朝の6時ちょっと前だった。
【事情を聞く】
妻に事情を聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
4時くらいに少し下腹部がシクシクと痛み出し、大便かなと思ってトイレに行ってみた。
気張ってみるも、何も出ず。
「なんか変だな?」と思いながらベッドに戻ったが、下腹部の痛みはどんどん増してくる。
不安になり、4時半くらいからトイレにずっとこもっている。
アソコに少し液体がついている気がしたのでトイレットペーパーで拭いてみたら、血がついていた。
今は「陣痛かも?」のアプリを使って、この痛みが本当に陣痛なのか計測している最中。
そこに私(夫)が起きてきた。
ということだった。
「らんたろーはまだ寝てていいよ」と妻が私に言うが、そんな絞り出すような声で言われて、寝ていられるわけがない。
【病院へ行く準備開始!】
まずはパジャマから外出着に着替え、財布やスマホなどをポケットに突っ込む。
妻にも、自分のペースで着替えるようにお願いした。
そして私は、妊娠後期になってあらかじめ用意していた、入院グッズの詰まったスーツケースを引っ張り出し、最終的なパッキングをして、玄関脇に設置した。
さらにスマホアプリのUberであらかじめ病院を検索し、いざという時にすぐにUberを呼べる態勢も整えた。
この間、妻はずっと苦しそう。
しかも6時を過ぎて陣痛がだいたい3~4分おきだったが、6時30分を過ぎた頃から2分に1度の割合で来ている様子。
痛みの強さも徐々に増しているっぽかった。
勘で、おそらくこれは前駆陣痛などではなく、本チャンの陣痛なのだろうと思った。
つまり、「出産は近い」と。
しかし何がしんどいって、スーツケースだったり、着替えだったり、もろもろの準備をする間、ずっとスマホ(のライト)を片手に行動しなければならないこと。
出産が間近に迫って嬉しい反面、「なんでこんな時に停電しているのか」と自分たちの運命を呪った(笑)
さて、ソファーに座って動けない妻があまりにもしんどそうなので、6時49分に病院の分娩室に電話した。
そういえばこのブログで記していなかったが、出産予定の数カ月前に、我々は出産を希望する病院にコンタクトを取り、出産や入院の手続きを済ませていた。
だから我々は、基本的にはいつでもこの病院に行ける。
ただし、周りの話を聞いたところ、仮に病院で陣痛が収まってしまうor陣痛が弱いままだと、結局いったんは自宅に帰されるケースもあるという。
後日談だが、妻はそれ(病院に行ったのにいったん家に帰されること)を非常に煩わしいと感じていたため、ギリギリまで陣痛に耐えていたそうだ。。。
【すぐに来たほうがいい】
病院の分娩室に私が電話を掛けると、電話口の男性は「奥さんが病院に行きたいと言っているのなら、すぐに来たほうがいい」と言ってくれた。
なので電話を切り、ウーバーを呼んだ。
ウーバーは8分後に来るらしい。
いつものペースで玄関を出ようとするが、妻は陣痛に襲われている。
自力で歩こうとしても、まるで足腰が不自由な人であるかのようにスローだ。
かといって、無理やり引っ張るわけにもいかない。
片手にスーツケース、もう片手で妻の体を支えながら、私たちは慎重に階段を降りた。
妻は階段を2~3ステップ降りるごとに休憩をしなければならないほど。
いつもなら、ものの20秒くらいでマンションの外に出られるところが、この時は5分以上も要した。
ある意味、ウーバーの到着が8分後で良かった。
マンションを出たところで、タイミング良くウーバーが到着。
妻が出産間近で陣痛が来ていることを運転手に伝え、車内で破水してしまっても極力迷惑を掛けないように、妻が座る座席には大きめのビニールシートとバスタオルを敷いて、我々は乗車した。
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