【不妊治療33カ月と13日その1:陣痛は突然に】

不妊治療

朝5時半ごろ、ふと目が覚めた。

我が家は昨晩から原因不明の停電に見舞われている。

気付くと、隣に寝ているはずの妻がいない。

「トイレにでも行っているのだろう」と思って、再び寝ようとした。

なかなか寝付けず、10分、20分、そして30分が経過しても、妻が戻ってこない。

不審に思った私はベッドを降りて寝室を出る。

すると、トイレのドアの下の隙間から、かすかに明かりが漏れていた。

【おしるし】

停電中だから、妻がスマホのライトを照らしているようだった。

ドアの外から「どうしたの?」と声を掛けると、中から苦しそうな妻の声で「おしるしが出てるかもしれない。おなかも痛い」と返答が。

“おしるし”とは、出産が近づき子宮口が開こうとした時に、卵膜がはがれて出血すること。

私「不正出血とか、危ない出血じゃなさそう?」

妻「…たぶん(←苦しそう)」

私「とりあえずドア開けれる?」

ここで妻がトイレのドアを開けてくれた。

妻は下着をおろしたまま便座に腰かけている。

この時点で時計は朝の6時ちょっと前だった。

【事情を聞く】

妻に事情を聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

4時くらいに少し下腹部がシクシクと痛み出し、大便かなと思ってトイレに行ってみた。

気張ってみるも、何も出ず。

「なんか変だな?」と思いながらベッドに戻ったが、下腹部の痛みはどんどん増してくる。

不安になり、4時半くらいからトイレにずっとこもっている。

アソコに少し液体がついている気がしたのでトイレットペーパーで拭いてみたら、血がついていた。

今は「陣痛かも?」のアプリを使って、この痛みが本当に陣痛なのか計測している最中。

そこに私(夫)が起きてきた。

ということだった。

「らんたろーはまだ寝てていいよ」と妻が私に言うが、そんな絞り出すような声で言われて、寝ていられるわけがない。

【病院へ行く準備開始!】

まずはパジャマから外出着に着替え、財布やスマホなどをポケットに突っ込む。

妻にも、自分のペースで着替えるようにお願いした。

そして私は、妊娠後期になってあらかじめ用意していた、入院グッズの詰まったスーツケースを引っ張り出し、最終的なパッキングをして、玄関脇に設置した。

さらにスマホアプリのUberであらかじめ病院を検索し、いざという時にすぐにUberを呼べる態勢も整えた。

この間、妻はずっと苦しそう。

しかも6時を過ぎて陣痛がだいたい3~4分おきだったが、6時30分を過ぎた頃から2分に1度の割合で来ている様子。

痛みの強さも徐々に増しているっぽかった。

勘で、おそらくこれは前駆陣痛などではなく、本チャンの陣痛なのだろうと思った。

つまり、「出産は近い」と。

しかし何がしんどいって、スーツケースだったり、着替えだったり、もろもろの準備をする間、ずっとスマホ(のライト)を片手に行動しなければならないこと。

出産が間近に迫って嬉しい反面、「なんでこんな時に停電しているのか」と自分たちの運命を呪った(笑)

さて、ソファーに座って動けない妻があまりにもしんどそうなので、6時49分に病院の分娩室に電話した。

そういえばこのブログで記していなかったが、出産予定の数カ月前に、我々は出産を希望する病院にコンタクトを取り、出産や入院の手続きを済ませていた。

だから我々は、基本的にはいつでもこの病院に行ける。

ただし、周りの話を聞いたところ、仮に病院で陣痛が収まってしまうor陣痛が弱いままだと、結局いったんは自宅に帰されるケースもあるという。

後日談だが、妻はそれ(病院に行ったのにいったん家に帰されること)を非常に煩わしいと感じていたため、ギリギリまで陣痛に耐えていたそうだ。。。

【すぐに来たほうがいい】

病院の分娩室に私が電話を掛けると、電話口の男性は「奥さんが病院に行きたいと言っているのなら、すぐに来たほうがいい」と言ってくれた。

なので電話を切り、ウーバーを呼んだ。

ウーバーは8分後に来るらしい。

いつものペースで玄関を出ようとするが、妻は陣痛に襲われている。

自力で歩こうとしても、まるで足腰が不自由な人であるかのようにスローだ。

かといって、無理やり引っ張るわけにもいかない。

片手にスーツケース、もう片手で妻の体を支えながら、私たちは慎重に階段を降りた。

妻は階段を2~3ステップ降りるごとに休憩をしなければならないほど。

いつもなら、ものの20秒くらいでマンションの外に出られるところが、この時は5分以上も要した。

ある意味、ウーバーの到着が8分後で良かった。

マンションを出たところで、タイミング良くウーバーが到着。

妻が出産間近で陣痛が来ていることを運転手に伝え、車内で破水してしまっても極力迷惑を掛けないように、妻が座る座席には大きめのビニールシートとバスタオルを敷いて、我々は乗車した。

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