【不妊治療12カ月と6日 “底”で過ごしながら その1】

不妊治療

朝起きても、気分は晴れなかった。

でも、すぐにやらなければならないことが一つあった。

それは、今まで約1年通っていた不妊治療専門病院への連絡。

なぜなら、我々に降りかかってきたものは「稽留流産」だったからだ。

これまで通っていた不妊治療専門病院へ

昨日の産婦人科の先生からは、「とりあえず今まで通っていた不妊治療病院に連絡してほしい」とのことだった。

普段はなかなか予約が取りづらく、不妊治療の申し込みから開始まで4カ月以上待ったその病院だが、一度患者として受け入れてもらった後や、こういう切羽詰まった時には迅速かつ柔軟に対応してくれる。

電話をかけ事情を説明すると、午後一番で来てくれと言われた。

我々の暗い気持ちとは裏腹に、その日はドイツの冬では珍しいほどの快晴だった。

病院到着

しばらく来ることはないと思っていた不妊治療の病院に到着した。

事情を話し、無理やり予約を押しこんでもらった旨を伝える。

1時間半ほど待たされたが、なぜかそんなに苦痛ではなかった。

今からまず行われるのは、2度目の検査。

つまり、おなかの子が本当に亡くなっているのかを調べる。

「やっぱり亡くなっています」という言葉を聞くのが怖かったから、検査の待ち時間が苦じゃなかったのかもしれない。

しかし、その時はやってきた。

私も妻も、まだ一縷の望みを捨てていなかった。

「もしかしたら昨日の診察は誤診だったかもしれない」

そんな淡い願いを抱いていた。

だが、月並みな表現だが、世の中そんなに甘くはない。

エコーには真っ黒な画面が現れ、動きがあるものは何も映し出されなかった。

まるで死刑宣告を2日連続でくらったかのような心境だった。

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