我が家には自家用車がない。
公共交通機関の便が非常に良い場所に家があり、「車があれば便利だなぁ」と思うことは、年に3~4回しかなかったからだ。
費用がまったくかからないのであれば車を持つこともあったかもしれないが、現実はそんなこともない。
車の購入費から保険代、冬タイヤなどの維持費も必要になる。
もちろんガソリン代もだ。
だが、このまま順調にいってくれれば、約4カ月半後に妻のおなかのベビすけが誕生する。
妻が産気づいた時、タクシーがすぐに来るのか、Uberがすぐにつかまるのか、または公共交通機関が動いているのか等々、なんの保証もない。
妻と「移動手段が多いに越したことはないよねぇ」という話になり、そこから「じゃあカーシェアリングも登録しておく?」という流れになった。
【Share Nowに登録】
色々と考えた結果、一番流動性が高そうで、台数も多そうなShare Nowに登録することにした。
Share Nowは、「car2go」と「Drive Now」という2つのカーシェアリング会社が合併してできた会社だ。
登録はそんなに難しくなかった。
まずShare Nowのアプリをダウンロードして、名前や連絡先、支払い情報などを登録し、あとは免許証をアップロードするだけ。
小心者の私は、初めての経験だし免許証のアップロードなど個人情報の入力も満載だったので若干ドキドキしていたが、登録自体はあっさりと終わった。
そして(記憶が曖昧だが、たしか)待つこと1時間ほど。
Share nowから「免許証の認識ができました。Share Nowに乗っていいですよ」と通知がきた。
これで晴れて、私もカーシェアリングデビューができる。
【不妊治療29カ月と15日:Share Now初運転】
Share Now登録完了の翌日、私と妻は友人の家に招かれていた。
その友人の家まで約2km。
身重の妻も「健康のために歩いていこう」と言うので、時間に余裕を見て徒歩で出かけることにした。
ところが家を出て数百メートル。
ゲリラ豪雨のような、大粒の雨が突然降り出した。
傘を持ってきていなかった私と妻はひとまず近くの軒下で雨宿りをしていたが、数分待っても雨脚は強まるばかり。
天気予報で雨雲レーダーを見ても、しばらくこの豪雨はやみそうにない。
妻をここに残し、私だけ走って家に傘を取りに戻り、公共交通機関に乗っていこうかという話を、妻としていた時だった。
我々が雨宿りをしている目の前に、一台の車が停まった。
見ると、車の側面に「Share Now」と書いてある。
妻と無言で目が合う。
向こうも同じことを思っているのはすぐにわかった(笑)
運転していた人が車を降りて、スマホを触りながらどこかに行ってしまった。
そしてShare Nowのアプリを私が開くと、我々の現在地の目の前に、乗車可能なShare Nowの車が表示されているではないか。
「これ、もう『乗れ』ってことだよね?(笑)」と妻に言うと、妻は「もう乗っちまおうぜ!」と威勢がいい。
自分はドイツで一度も運転したことないくせに…w
ちなみに目の前に停まっているのは、3ドアのMINIクーパーで、サイズはそこまで大きくない。
ドイツで久しく運転していなかった私でも、十分乗りこなせそうだ。
【いざ、着席】
アプリを開き、目の前のMINIクーパーを選び、「START」を選択すると、「ガチャ!」といって鍵が開いた。
これだけでも軽い感動を覚えた(笑)
さっと乗り込み、まずは操作方法の確認。
ワイパー、ウインカー、座席の動かし方、(オートマだけど)ギアチェンジのやりかた、サイドミラーの動かし方など、細かい確認を行い、いざエンジンをかけようとしたが、鍵が見当たらない。
ハンドルの横にスタートボタンがあるのを見つけたので、これはおそらく鍵が不要なタイプだと思いボタンを押すと、やはりエンジンがかかった。
時間も時間だったため交通量は決して少なくないし、加えて土砂降り。
しばらくぶりのドイツでの運転なのに、なかなかシビアな条件だ。
で、だいぶ緊張して発車したわけだが、走りだせばすぐに慣れた。
もともと徒歩で行こうと思っていたくらいの距離なので、すぐに友人宅付近に到着。
このShare Nowという会社は自治体の許可を取っているため、いわゆる駐車可能なスペースであれば、どこにでも車を乗り捨てられるというメリットがある。
友人宅付近を少し回ってスペースを見つけ、無事に駐車できた。
少し脇汗をかいたが、これにて私のShare Nowデビューは終了。
ちなみに妻に感想を聞くと、私の緊張感がバリバリ伝わったらしく、ゆえに妻も緊張し、私の運転中はおなかが張っていたそうだ(笑)
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