【不妊治療33カ月と7日:妻が臨月、私はシュツットガルト出張】

不妊治療

出産予定日まで2週間ちょっと。

そんな時に、ボスから珍しい類の指令が来た。

「新しいプロジェクトのための会議をシュツットガルトでやるから、キミに行ってほしい」

「最大で1週間くらい向こうに滞在する可能性もある」

「でも早く話がまとまれば3日くらいで終わると思う」

欧州に点在する他の支社からも人が集まるこの会議。

参加者は日本人の私の他に、ドイツ人、イタリア人、ノルウェー人、スウェーデン人、スロバキア人など様々だ。

会議は朝から始まるので、前日のうちにシュツットガルトに移動しておかなければならない。

妻に「もし何かあったら友人の〇〇ちゃんに連絡するんだよ。〇〇ちゃんにあらかじめ『夫が出張している』って伝えておくんだよ」と言って、私は出張に出かけた。

【話が早くまとまった!】

果たして、ボスの予想は良いほうに的中した。

会議は早くまとまり3日間で終了した。

ただし、4日目に持ち越さず3日間で会議を終わりにするため、通常の労働時間を大幅に過ぎてしまい、3日目の会議は夕方までに終わらなかった。

そのためこの日は帰宅できず、シュツットガルトに宿泊することに。

そして翌日、ホテルでしっかりと朝ごはんを食べてから自宅のある町に帰った。

前泊も含めて、トータルで4泊5日の出張だった。

【不妊治療33カ月と12日:蛇口修理を発端に悲劇が始まる】

この家に引っ越してきたのは、もう8年も前のこと。

妻と付き合い始めて半年後くらいに、この家で同棲を始めた。

さすがに8年も住んでいると、色々とガタは出てくる。

数カ月前から、洗濯機につないでいる水道の蛇口から水が漏れるようになっていた。

この数カ月、洗濯機を回すたびに蛇口の下にバケツを置いて水漏れを受け止めていた。

だが、洗濯を1回やるごとに50ccくらいはバケツに溜まっている。

なにかの拍子に蛇口の水漏れが悪化したりして噴水のようになってしまったら怖いので、私と妻は洗濯を終えるたびに蛇口を固く閉め、そしてまた次に洗濯をする時に蛇口を開けるという手順を踏んでいた。

妻の出産予定日もいよいよ近づいてきたし、ベビすけが産まれたら洗濯の回数は確実に増す。

その前に一度ちゃんと修理してもらったほうがいいんじゃないか、ということになり、我々は大家さんに連絡をして蛇口の修理をお願いしていたのだ。

それが、この日だった。

【蛇口を交換】

幸いにも私のシュツットガルト出張が早めに終わったため、修理屋さんが来るタイミングに妻だけでなく私も同席できることになった。

朝8時、インターホンが鳴った。

予定の時間に、2人の技術者がやってきた。

洗濯機置き場に案内すると、彼らはまず家全体(私と妻の住む部屋)の水道の元栓を閉めた。

そしてテキパキと作業を進めること約20分。

あっという間に洗濯機につなぐ蛇口はピカピカの新品になった。

そして彼らは家全体の水道の元栓を再び開け、笑顔とともに我が家を去っていった。

だが、この蛇口交換が悲劇の始まりだと、その時の私と妻は知る由もなかった。。。

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